調律師とちょうちんアンコウ。そして胃薬まで。 [音楽]
調律師というのはアナログな仕事ではありますが、それなりにはデジタル機器や最新のテクノロジーの恩恵を受けてはおります。
例えば、世紀の大発明とされた「LED」、本当に感謝しております。
写真は小型のLEDライトで、細かいところを鮮明に照らしてくれます。
我々の仕事は暗い所での作業もあったり、狭い所の部品も細かく調整しなければなりませんので、このような道具は大変重宝します。両手もフリーになるので便利です。
これなんかはパッと見 「ちょうちんアンコウ」のようです。
そういえば、ちょうちんアンコウは職場が暗い深海です。暗い中、このようなライトを使いたくなるという上では 我々もアンコウも発想は同じです。
しかしLEDが出てくるずっと前から頭からライト垂らしてたんだから、アンコウもなかなか先見の目をお持ちである。
ライトで照らす事で「物がよく見える」という事もまた嬉しいですな。
調律師は案外と「目」を酷使します。ハンマーと弦の接近距離を何ミリにして~なんてやってると 大体目がおかしくなってきますし、年々老眼が 疲れ目には辛い仕事です。
そういえば、ちょうちんアンコウ先輩方も視力が大変弱いと聞く。
これはいよいよ調律師と ちょうちんアンコウの共通点が明るみになってきましたね。
さて、世紀の大発明LEDを使う度に、先日ノーベル賞を受賞なさった先生方の事を思い出します。
もちろんこの先、後世に伝えられていく大変素晴らしい事でございます。
そう思っておりますと、ピアノや音楽も、遥か昔の偉大な方々のお陰。
モーツァルトやベートーヴェン、ショパンも、まさか何百年先に渡って自分たちの音楽が 世界中に受け継がれているなんて、その当時考えた事でしょうか。
ベートーヴェンの、かの名曲 「エリーゼのために」 に至っては、我が家ではストーブの灯油が切れた時のお知らせ音ですからね。 まさかベートーヴェンも、自分が好きな女性の為に書いた曲が、未来では チープなビープ音のストーブ給油音に使われているなんてビックリ仰天でしょう。
それを言っちゃあ、ショパンの有名な「前奏曲7番 イ長調」。 あれを聴いたらほとんどの日本人は「あ、胃腸薬の曲」、と思う事でしょう。 ショパンに至っては「イ調と胃腸」をかけたダジャレですからね。 さすがに同情します。
まとめ: 良い物というのは様々な使われ方をし、様々な角度から愛されていくものです。多くの人に認識され、身近に感じてもらい、そして印象に残っていく。とても大切なことです。
しかし、本来持つ価値や意味をきちんと理解し、それを伝え 守っていかなければならないのも、我々に課せられた使命でもあります。
写真と文章: 桃太郎