スタインウェイの保守点検 (1) [スタインウェイピアノ]
ご存知のとおり、ピアノは定期的な調律が必要ですが、スタインウェイピアノはさらに細かい定期調整「保守点検」が必要です。今回はその作業の一部をご紹介します。
こちらはハンマーが弦に対し正確に当たっているかを確認しています。
グランドピアノは左側のペダル、シフトペダルを踏む事で弦に対しハンマーが右にシフトします。ハンマーと弦の位置が正確に合っていないとシフトをした時の位置・音色が合わなくなりますので非常に重要な調整です。
ちなみにスタインウェイは弦に対しハンマーが中心より若干右に位置しています。
これは弦に対しハンマーの位置を調整する方法で、ハンマーのフレンジ裏に紙を貼って調整します。
他にもハンマーの首(シャンク)に熱を加えて角度を修正する方法もあります。
88箇所全てが正確に弦に当たるように調整します。
なお、フレンジ裏に貼る紙はスタインウェイ専用の紙で、貼り方も決まっています。
ハンマーの位置が正確に決まりましたら、ハンマーが全ての弦を同時に叩いているかを確認します。
ハンマーを1本1本そっと弦に当て、ハンマーが同時に打弦出来ているかを確認します。当たりの悪いハンマーは削って修正します。
もちろん弦そのものの高さも確認しておく必要があります。
これらの作業で重要なのは調整前・調整後の「音」を必ず聞く事で、常に音の変化を聞きながら行います。
なお調整の際に状態をよく覚えておく事も重要で、例えば今回の様な作業であれば「どのハンマーが、どの様な状態で、どの様に調整したか。結果どうなったか」をしっかりメモし覚えておきます。もちろん他の調整や調律にも言える事で、細かい情報を蓄積しておく事で各ホールや会場のピアノがどの様に変化するかを把握する事が出来ます。
これはご家庭のピアノ管理にも通ずる事で、調律に訪問する度にピアノの状態をプラスへ導いていく為には重要な事です。
長くなりましたので、続きは次回に。
文:桃太郎
2019-01-19 13:00