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鍵盤下の両替作業? [修理・調整]

ピアノの調整には様々な方法があります。

メーカーによる考え方の違いはもちろん調律師によっても様々です。

ただ、最終的に到達したい仕上がりや精度は同じような水準に向かっていますので、結果として演奏者が納得する状態が出来上がるかが重要です。


しかし、細かい作業項目のなかには「こうすべき」というセオリーの様なものが数多く存在します。

例えば、

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写真は鍵盤の下にある部品。

緑色の物はクッションの役割をしているパンチングクロス。

そのパンチングクロスの下に「紙」を適量差し込んで「鍵盤深さ」を調整しています。

実はこの「紙の入れ方」にも考え方があります。

写真を見ると水色の紙が大量に入っており、端には厚紙が1枚デンッと入ってます。

この水色の紙は0.08ミリですが、こんな薄い紙を大量に入れるならもうちょい厚い紙を入れてあげた方が良いです。

薄い紙を大量に入れる事で底がフワフワしてしまい安定しません。

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次の写真では紙の厚さを適切に変えました。

どえらい入っとった紙達は、厚さの違う各種紙達に入れ替えられスッキリしました。

私はこの紙の入れ替え作業を「両替」と言いま、せん。

作業上、紙の入れ替えは厚さを計算しながら行いますので、多少手間といえばそうなのですが、明らかに足していくだけの作業はかえって悪循環に陥ります。

※最終的にかなり繊細な調整ではあえて薄い紙を2〜3枚重ねて揃える事もありますが、同じ紙は使用限度があります。


当然紙の入れる順番も決まっており、底に向かうに従って厚くしていきます、などなど。

ピアノ調整作業を行う上でこの様なセオリーは数多くあり、これらが無視され続け調整されたピアノは当然良い状態とは言えない結果になっています。

逆に、細やかな作業や調整に丁寧さや担当調律師のこだわりが見られるピアノもあり、やはりその様なピアノは状態も良く音もタッチも生き生きとしております。


たかが1枚の紙かもしれませんが、小さな作業の積み重ねが大きな結果をつくりあげるものであります。


文章:桃太郎





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