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消音のメリット・デメリット [防音・サイレント・消音]

ピアノ消音装置、いわゆるサイレント機能とか消音ユニットなどと呼ばれており、夜間の練習やご近所への音の配慮等の為に広く普及しております。

この消音ユニットが世に誕生してから長い年月が経ちますが、ここでは消音ユニットの有無に関してのメリット・デメリットをご説明いたします。


まず、消音ユニットの仕組みを簡単ご説明しますと、

①鍵盤センサー

②ハンマーストップ

の2つに機構が分かれます。


で、通常時に対してのデメリットを申し上げると、

A.表現力の変化

B.音の感じ方

が、あるかと思います。


では、それぞれをご説明致します。
少々文章が長くなりますので、各自お茶かコーヒー等ご用意頂き、万が一寝落ちした際の為にアラームをセットしましょう。


image1.jpg①鍵盤センサーは、鍵盤の下にセットされ鍵盤の動きを読み取って本体に伝えられます。



写真のタイプは光センサーのため、鍵盤そのものがセンサーに接触する事もありません。


ただし多量のホコリや大きいゴミ等が落下した場合に読み取り不良を起こす事もありますので注意が必要です。

センサー部品が直接鍵盤に触れる接触タイプは最近の物は高性能ですが、中古等である古い製品ではタッチに異物感を感じる物もあります。



②次にハンマーストップです。

これは、通常時に弦を叩くハンマーが「消音の際に弦を叩く寸前で止まる事」を言います。

image2.jpg

今回申し上げるデメリットAはここにポイントがあります。


ハンマーは弦に当たる寸前、アップライトですと弦から2~3mmの位置で戻る様に出来ております。

消音ユニット取付の際に、この距離をもう少し広げる必要があるのです

これによって繊細な動きが弦に伝わりにくくなり、ピアニッシモ等の表現力に影響します。

※実はこの距離設定は取り付けるピアノや技術者の技量によっても変わってしまうので注意が必要です。

場合によっては、この距離が広すぎる事によりパワーが弦に届かずフォルティシモにも影響が出ます。


次にデメリットBですが、消音のメリットでもある「ヘッドホン」使用が関わってきます。

通常演奏時、演奏者はピアノから出てくる音を耳で聴いて指でコントロールします。

コントロールには「音量や強弱」「音色の違い」「低音と高音のバランス」など様々な判断が出てきますが、この判断が音の感じ方になります。

演奏者はピアノの前に座り演奏する際、これら全てを自分の指と耳でコントロールしなければなりません。

「こう弾けばこういう音が出る」「右手のメロディに対して左手の伴奏がうるさくないか」などなど多くの情報を弾きながら聴きながら感覚をコントロールします。

実は、ヘッドホン使用の際にこれらの事が曖昧になりやすく、特に音が耳のすぐ近くで鳴っている為、通常演奏時との音の距離感が変わって感じます。

さらに音量について、通常演奏時は「聴いた音を指の力でコントロール」して音量を決めていきますが、消音は機械側でボリューム調整が出来てしまうが故に、「指の力と音量の一致」が曖昧になりやすいです。

image2.jpg


しかしながら、消音のメリットも多くあります。

①音漏れの心配が無いのでいつでも弾ける。

②メトロノームや録音・再生等の機能が使える。

これらは電子ピアノと同様で、使う方のライフスタイルにそった利用が可能になり練習の幅が広がります。

※注意ですが、消音の際でも鍵盤を叩くコトコト音(衝撃音)は発生します。

使用可能な機能はお使いの消音機種によって変わります。


様々な違いを申し上げましたが、やはり「音の問題で弾けなくなる=練習出来ない」という事を思えば、多少でもデメリットに目をつぶって「弾ける=練習できる」というメリットを選択するのも方法です。


ただ、もし生の音が出せる時間帯があれば、ぜひ生の音でも練習して音の感じ方のずれを修正しましょう。


image1.jpg長くなりましたが最後に、

「ヘッドホンの使用」にちょっと抵抗のある方(お子様等)は写真のような外部スピーカーを使用するのも方法です。

消音本体の音声出力端子や、ヘッドホン端子(差込口)がそのまま使えます。

スピーカーは家電量販店で購入可能なPC用の手軽な物もありますし、写真の様なしっかりしたタイプの物もあります。

スピーカーですので値段と音質は比例する要素がありますが、ひとつの方法としてご参照ください。





文章:桃太郎


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