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今日は調律の日。ピッチのお話。 [調律]

今日、4月4日は「ピアノ調律の日」です。

音の基準であるA(ラ)音の周波数が「440Hz」であるところからきております。


この「440Hz」という基準ですが、実は過去の時代や国によって違いがありました。

19世紀半ばから後半ではオーストリアやフランスで「435Hz」が使用されておりました。

その後なんやらかんやら色々あり、アメリカで「440Hz」が使用されていき、1939年のロンドンでの会議で「440Hz」が採択され、その後に国際標準になりました。


しかし現在ではコンサートの際は「442Hz」というコンサートピッチを使用する事が多く、ヨーロッパでは更に高い「444Hz」という高いピッチも使用します。

逆にアメリカでは「440Hz」でコンサートを行う事が多いです。


日本の多くのコンサートホールではピアノ調律は「442Hz」に合わせておく事が多く、仮に「440Hz」で調律をした場合は使用後に「442Hz」へ戻す調律を行う事もあります。

コンサートの種類や演目によっては「441Hz」もよくあります。


ひとことに「調律」と言っても様々な「ピッチ事情」があるんです。


文章:桃太郎


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100日後に変わる調律 [調律]

調律は実施する時期によって様々な影響を考える必要があります。

今日、このブログ作成日は3月29日ですが、気温もまだまだ寒い日もあり湿度もそんなには高くないですね。

ただ、これから100日(3ヶ月ちょっと)も経てば梅雨になっておりますので、湿度も今よりうんと高くなります。

気温も暑くなりますのでピアノへの(調律)影響は当然変わります。


特に湿度が上がるとピッチも上がる傾向になり、1音のユニゾン(3本弦)の関係も特徴的に変化します。

この辺りを考慮し調律する必要がありますが、やはり梅雨時は除湿機などをご用意いただき、多湿にならないように対策する必要があります。


本格的な梅雨の前に、今のうちから準備しましょう。


文章:桃太郎


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以前書いた「寒い日のピアノ調律」もご参考に。



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寒い日のピアノ調律 [調律]

今年は暖冬と言われてはおりますが寒い事には変わりません。ますます寒さも深まる2月になりました。

image0.jpgさっそく写真ですが、朝いちばんにホールに伺った際のピッチの状態。

ホールのピアノは普段「ピアノ庫」という専用の保管庫にしまってあるわけですが、ステージ上にピアノを持ってきても冬場はピアノもステージも冷えている為、ピッチも高めに上がってしまっている事があります。

写真では49A(再低音から数えて49番目、ラの音)が「443Hz」に。

実はこのピアノは数日前に私が「442Hz」で調律して演奏会で使われたのですが、気温変化によってこの様になったのです。

さて、ピッチが高くなっているからといって、すぐ音を下げてはいけません。

特に演奏会では本番中に空調も入って照明もしっかりあたります。つまり温度は上昇しピアノも温められてピッチも下がってきます。

写真の温度計では17.3℃を記録しておりますが、この後確実に25℃を超えます
こちらのホールに限らず、自分自身がよく伺う所では普段から様々なシチュエーションでの気温・湿度を覚えておく事も重要です。

もちろんその日その日による使用方法の違い→「舞台反響板の有無や、照明のあて具合、ピアノの屋根が全開なのか閉じて使うのか」このあたりも加味して考える必要があります。

そしてこの「温度変化」を見越して考える事が調律師には大変重要です。


早く暖かくならんかなぁ。。

文章:桃太郎

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調律師の運指 [調律]

90946FE2-3C67-4A25-A900-1AF982E82916.jpegこの難解なフォームは演奏ではなく、調律師がピアノ調整をする際に行うフォームです。(個人差があります)

この様な、演奏時にはなかなかしない動きを調律師はちょいちょい求められます。


もちろん演奏者の様に弾くような動作も必要ですが、調律師の弾く動作といえば「半音階」。兎にも角にも「半音階」。カッコよく言えば「クロマチック・スケール」。音を半音ずつ連続で弾くやつです。

調律師になるにはこれが出来ないといけません。たぶん。っていうか調律師になると気が付いたら半音階パフォーマーに。

他の楽器店にこっそり遊びに行っても、つい半音階で弾くので勘のいい店員さんからは身バレします。


さて、この半音階は音やタッチを1音1音確認するのに用いられたり、全体的な音・タッチの繋がりを確認するのにも使われます。

調整の際はあくまで機械的に弾くことで確認をしますが、最終的には演奏者・演奏を意識して確認する事も重要です。


「調律師はピアノを静の部分でみている。しかしピアニストはピアノを動の部分でみている」。これは私が昔お世話になった調律師の方から言われた言葉ですが、調律師が調整している時のピアノは止まっている状態(静)で行うため、ピアニストが弾いている時の動きと(動)は違うという事です。

この差はとても大きく、常に演奏者の立場になって考える必要があるわけですね。


文章:桃太郎



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調律師の学科試験とは [調律]

一言で調律師といえば「ピアノの音を合わせる仕事」であり、技術者的な印象の強い職業だと思います。

が、実はこの調律師という職業は「知識」ももちろん必要です。

この知識を試すいわゆる「学科試験」が先日行われました。

「ピアノ調律師技能検定」と呼ばれるもので毎年行われ、「学科試験」と「実技試験」に分かれております。

3級、2級、1級とレベル分けもしてあり、それぞれ求められる技能が変わります。

では、この調律師学科試験というのはどの様な問題なのか、皆さま是非チャレンジ。

【正誤問題】

・「Ais」「B」は異名同音である。

・ヘンデルは、古典派の作曲家である。

・1点ハ音は、ピアノの鍵盤で52Cに当たる。

・長3度を2つ重ねた音程は、長6度である。

・音速は、波長と振動数の積である。

・ソナタ形式は、2つの主題と2部構成で作曲される。

・チェンバロの有効弦長は、駒とプレクトラムの位置で決まる。

・シントニックコンマは純正律と平均律の完全5度の差を意味し2セントである。

・テーラーの公式によると振動数は張力の平方根に反比例する。

・平均律の長3度は純正調の長3度(F-Aなど)に比べ、14セントの差がある。

・アップライトピアノのペダル交換では、必ず底板を外す。



なかなかの問題が多いですよね。

ピアノその物への問題、構造、調律知識はもちろんメカニックの問題や修理について。

音楽の基本知識から作曲家、楽曲への知識も求められます。

他にも歴史も必要。

でもまだ上記は正誤問題、いわゆる丸バツ問題…、まぁ迷ったら鉛筆転がして…


この他にも多肢択一問題があり、3級は三択、2級は四択、1級は五択から回答しなければなりますせん。

レベル的には3級が楽かとも思われますが、いえいえやはり様々な分野の知識を広く知っておく必要があります。

下に学科試験の過去問題リンクを貼っておきますので更に興味のある方はどうぞ。

文章:桃太郎




画像は本年度の学科試験問題の一部


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