スタインウェイのペダルの秘密 [スタインウェイピアノ]
スタインウェイの秘密、と言いますと大袈裟ですが、今回はダンパーの可動の違いを少しご説明しましょう。
ではその前にちょっと解説を。
音を出す時、特に音を伸ばす際にまず、
「①鍵盤を押さえ続けて音を伸ばす」方法と、
「②ダンパーペダル(一番右側ペダル)を踏んで音を伸ばす」方法があります。
ご存知の通りかもですが、これはピアノを弾く上で非常に重要な事で、これら方法の違いを理解し音を聴き分け演奏する事で表現が変わってきます。奏法等の解説はテーマがズレますので割愛
さて、写真はスタインウェイのGPアクション模型です。
支点①、支点②として記入してありますが、これらが先程触れました 「①鍵盤」の方法と「②ダンパーペダル」の方法において内部メカニック的に違いの表れるところです。
これは、鍵盤を押さえると、鍵盤後端がダンパーレバーと呼ばれる部品を押し上げている所です。
鍵盤の動きに合わせてダンパーが動く、つまり弦を押さえていたダンパーフェルトが離れ「音」が鳴る訳です。もちろん鍵盤が戻ればダンパーも下がりますので音は止音されます。
注目すべきはこの時の「支点①」の動きです。
動画では少々遠く見辛いですが、支点①が可動しダンパーが動く。まずここを良く覚えておいて下され。
【動画② スタインウェイダンパーペダル可動】
ダンパーペダルを踏んだ際、(動画では手で持ち上げております) ダンパーレバー下の台座が持ち上がり、ダンパーレバーが一斉に上がる仕組みです。 これにより全ての弦がダンパーから解放され、鍵盤を戻しても音が伸び続ける訳ですね。 ちなみにこのダンパーペダルというものは約230年前からあります。
さて注目しましょう、「支点②」。
これはペダルによって持ち上げられる台座(名称:リフティングレール)独自の支点なのです。
つまり、『鍵盤を押した時にダンパーが動く支点』 と、『ペダルを踏んだ時にダンパーが動く支点が違う』 という事なのです!
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?マークの方、次の動画をご覧ください。
【動画③ 一般的なGPダンパー可動】
これは一般的なGPのアクション模型です。
鍵盤を動かした際に動くダンパーレバーの動きも、ペダルによる台座の動きも、「同じ支点で動いている」事が分かります。
【重要】 つまり、スタインウェイのダンパーペダルは他メーカーに比べて独特な動きをするわけです。
さて、この事により一体何が変わるか。
ぜひ、スタインウェイを弾きにいらっしゃって下さい。
文:桃太郎