調律師の運指 [調律]
この難解なフォームは演奏ではなく、調律師がピアノ調整をする際に行うフォームです。(個人差があります)
この様な、演奏時にはなかなかしない動きを調律師はちょいちょい求められます。
もちろん演奏者の様に弾くような動作も必要ですが、調律師の弾く動作といえば「半音階」。兎にも角にも「半音階」。カッコよく言えば「クロマチック・スケール」。音を半音ずつ連続で弾くやつです。
調律師になるにはこれが出来ないといけません。たぶん。っていうか調律師になると気が付いたら半音階パフォーマーに。
他の楽器店にこっそり遊びに行っても、つい半音階で弾くので勘のいい店員さんからは身バレします。
さて、この半音階は音やタッチを1音1音確認するのに用いられたり、全体的な音・タッチの繋がりを確認するのにも使われます。
調整の際はあくまで機械的に弾くことで確認をしますが、最終的には演奏者・演奏を意識して確認する事も重要です。
「調律師はピアノを静の部分でみている。しかしピアニストはピアノを動の部分でみている」。これは私が昔お世話になった調律師の方から言われた言葉ですが、調律師が調整している時のピアノは止まっている状態(静)で行うため、ピアニストが弾いている時の動きと(動)は違うという事です。
この差はとても大きく、常に演奏者の立場になって考える必要があるわけですね。
文章:桃太郎