スタインウェイの保守点検(3) [スタインウェイピアノ]
以前からの「スタインウェイの保守点検」についてブログの続き。
写真は鍵盤筬(オサ)の裏です。筬とは簡単に言いますと全ての鍵盤及びアクションが収まっている台の様な(引き出しの様な)物です。
この筬の裏に真鍮の丸い金具がピョコっと出ています。
写真の真ん中やや下の金具で、6箇所付いています。
実は鍵盤筬の手前側と奥側は本体棚板に接地していますが、中央部はこの金具が「ほんの僅か」接しているだけなのです。
この部分の調整は非常に重要で、タッチに影響する事はもちろん、音色にも影響します。
先程申し上げた「ほんの僅か」の量がポイントとなり、接地具合は湿度の影響も受けますので、ピアノを見る度によく確認して変化を認識しておく事が重要です。
次の写真は鍵盤の高さを揃えている所。
「鍵盤ナラシ」という作業で、鍵盤の高さを計測し全ての高さを揃えていきます。
白鍵の上に専用の定規を置いて測っていき、高い・低い鍵盤は専用の紙で揃えていきます。
ちなみにスタインウェイの鍵盤は真横から見ますと、左右端に比べて中央辺りがほんの少し高くなっています。
鍵盤の高さは「鍵盤の深さ(鍵盤アガキといいます)」の基準になりますので正確に揃えていきます。
写真の手が持っている「半透明の物」は鍵盤の深さを揃える「アガキ定規」という物です。
写真のアガキ定規は現在スタインウェイで使用されているタイプですが、鍵盤深さは各ピアノ・機種などによっても若干変わり9.8〜10.3ミリくらい、各メーカーの平均一般的には10ミリ程でしょう。
次の写真は鍵盤アガキで使用するスタインウェイの紙です。
厚さは色分けされており、全ての鍵盤を適切な深さに揃えていきます。
この紙の直径サイズが小さいものは先述の鍵盤ナラシで使用します。
最初に述べました筬の状態は鍵盤ナラシ・アガキに影響します。もっと言えば湿度変化によって変化していきますので、各季節に応じた認識や見越しが調整を行う上で必要になっていきます。
to be continued
文:桃太郎